編み物と卑屈

アラサー女性の生活と思考、そして時々心理学

編み物とマインドフルネス

編み物を始めて、あと少しで1年になります。
小さなあみぐるみから始め、ぼちぼちと好きなものだけ作ってきました。

今作っているのは、メンズのセーターです。
後身頃の裾から編んでいて、今やっと腰あたりかな……?
交差編みを使って模様を出していくのはほとんど初めてなので、
こうやって模様が出来上がっていくのがとても楽しいです。

 

編み図はこちらを参考にしています↓↓

219aw-14 チルデンセーター 527 純毛並太・2 - ごしょう産業株式会社|Gosyo co., Ltd.

 

糸は、ユザワヤで売っていたデイリーウールというもの。
柔らかく温かく、さくさくと編みやすい糸です。


完成したら、パートナーに着てもらうつもりです。
大物を編むのは楽しいですね。

 

編み物に限らず、手仕事はよいものです。
少しだけ、なぜ手仕事を「よい」と感じているのか、言語化してみようと思います。


情報もタスクも過多なこの時代、私たちの意識や思考はとにかく忙しい。
まだ起きていないことに対する心配や、すでに起きてしまったことに対する後悔、あるいは自分とは離れたところで起きている事件や災害への不安など、必要以上に思考や意識を奔走させています。
それは確かに、生きる上で必要なことです。


ですが、常にこうした状態だと疲れますし、必要以上に不安や心配が大きくなってしまうこともあります。
何より、今目の前にあることから気がそれてしまい、本来ならばそこにある楽しさや喜びに気づけなくなるかもしれません。

 

編み物や裁縫などの手仕事は、せわしなく動き回る私たちの意識を、そっと「今ここ」に戻してくれます。
目の前のことにただ集中する、視覚や触覚などの感覚を味わう、その成果を喜ぶ。
こうした作業は、私の心を凪がせ、すっきりとさせてくれるように感じるのです。
私は編み物に落ち着いていますが、人によってはそれが運動だったり、料理や食事、音楽なのかもしれません。


少し、話を脱線させます。
前回、「心理士としての話はあまりしない」と書いたにも関わらず、せっかく思い浮かんだので、ちょっとだけ心理士っぽい話をしてみます。

 

心理学、特に臨床心理学では、ここ最近、マインドワンダリングやマインドフルネスといった概念が提唱されています。
とくにマインドフルネス瞑想は知名度が高く、ご存知の方も多いかもしれません。

 

マインドワンダリングとは、「思考をあちこちに飛び回らせている状態」。

「あれってどうだったっけ」「これからどうすればいいんだっけ」など、いろんな考えが頭を駆け巡り、気が散っている状態です。


マインドフルネスとはその対となる概念であり、「今ここに意識を集中させている状態」。

目の前の景色を楽しむ、料理をゆっくりと味わう、そんな体験です。

 

両方、とても大切な心の機能ですが、どちらかに偏ることなく、バランスよい状態を保っていくことが大切です。
ことに現代人は「マインドワンダリング」のほうに偏りがちなので、「マインドフルネス」の実践が重視されています。

実践といっても、何も特別なことをする必要はありません。
今ここで起きていることを、好奇心を持って観察するだけで十分です。

 

たとえば、窓の外を眺めてください。
考えを巡らせることをいったんやめて、今ここにある景色を、ありのまま、好奇心を持って観察してみましょう。


空はどんな色ですか。

空の色は一色でしょうか。 微妙に色の変化があるでしょうか。

 

雲はどのくらいありますか。 どんな形でしょう。 

風のある日なら、眺めているうちに、雲が動いていることに気づくかもしれません。

 

ビル、民家、道路、あるいは畑……目に入ってくるものは、どんな色、形をしていますか。 

素材はなんだろう。 手触りも想像してみましょう。

 

興味を持って、目に入ってくる景色を観察しましょう。
こういった時間を少しとるだけで、少しすっきりした気持ちになりませんか?

ちょっとだけ、マインドフルな状態を体験できたかもしれません。

そして、私には、編み物に集中することも、マインドフルネスに近いような感覚に感じるのです。

 

と、まあ偉そうに書いてみると、少し気恥しい気持ちです。

とにもかくにも、私もよく不安や心配に心が引きずられがちです。
そんな私を「今ここ」にそっと呼び止めてくれる編み物はやはり、とてもよいものなのです。

 

セーター完成させるぞー!

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。