編み物と卑屈

アラサー女性の生活と思考、そして時々心理学

スノードームのように生きる

 

自他境界」という言葉があります。
自分は自分、他人は他人、別の人間である」という感覚のことを言います。

 


この自他境界が曖昧になると、他人の気持ちや考えに必要以上に影響を受けてしまいます。
「相手が怒ってる、私がなんとかしなくちゃいけない」「私の考えに反対されてしまった、私は間違った人間だ」というように。

逆に、他人に自分を理解してもらいたい、共感してもらいたいという気持ちが強くなりすぎて、かえって傷ついたり、他人を振り回してしまうこともあります。
たとえば、「私はこんなに悲しいのに、どうしてわかってくれないの」「私が絶対に正しいのだから、みんな賛成してほしい」といった感じで。

 


大学、大学院、そして仕事と、心理学を学ぶ中で、「自他境界」について、概念的には理解しているつもりでした。
ただそれはあくまで「そういう概念がある」という理解に過ぎません。

「まあ言われたらその通りだよね」とは思うけれど、自分の感覚としてはなんとなくピンと来ていませんでした。

 

たぶん、私自身が、自他境界が曖昧になりやすい人間なのだと思います。
落ち着いているときは、「自分と他人が違う」ということは当たり前にわかっていますが、不安だったり、落ち込んでいたりすると、必要以上に他人に振り回されてしまったり、振り回してしまう。

自分の存在が曖昧で頼りなくなり、世界に圧倒されてしまうような気分になることもあります。
たぶん、同じような感覚を体験したことがある方も多いでしょう。

 

 

そんな中で、最近、少しだけ私なりに、自他境界を持つコツがわかってきました。
それがタイトルの、「スノードームのように生きる」という方法です。
ブログを読んでくださってる方にとっても何かのヒントになったらうれしいなぁ、と思いながら、少しだけ書いてみます。

 

誰かの言葉に傷ついたり、誰かの評価を必要以上に気にしてしまったり、あるいは誰かに求めすぎてしまっているとき。


すなわち、自分の心が外界に曝されすぎているような感覚になったとき、私はそっと、私の周りを頑丈なガラスのドームが覆っている、そんな状態をイメージをします。

私はガラスのドームの真ん中にいて、守られています。その中には、私だけの景色があります。
まさにスノードームのような感じです。


気持ちが落ち着いているときにはドームの中も落ち着いていてクリアですし、混乱しているときには、吹雪のように気持ちが舞い乱れます。

そして今、ドームの中は、雪が激しく舞っているかもしれないけれど、ガラスドームの中の雪が時間とともに動きを止めるように、私の気分もやがて落ち着くであろうことも意識します。

 

私の外側では、確かにいろいろなことが起きているけれど、だからといって、それが私の内側まで侵入してくることはない。
自分の本質は、自分の内側できちんと守られている。
スノードームの中にいる自分をイメージするだけで、少しの安心感を得ることができます。

それに加えて、スノードームを眺めるような気持で、「今、私の心の中は、どのくらい吹雪いているだろう」「今は落ち着いているかな、クリアになっているかな」と、視覚的なイメージで、自分の気持ちの状態を把握する助けにもなります。

 

 


そして、同じように、周りの人も周りの人のスノードームを持っています。

私のスノードームが今大吹雪だからといって、他の人もそうだとは限りません。
逆に、他の人が吹雪いていたとしても、私も一緒に吹雪く必要はありません。

目の前の人が怒りで大嵐だとしても、それはその人の中で起きていることで、私自身も大嵐に巻き込まれる必要はないのです。

 


それぞれが、しっかりと自分を守ってくれる丈夫なガラスドームと、その内側の領域を持っています。
自分と相手は、それぞれ守られた別々の範囲の中にいるということを念頭に置いたうえで、相手のスノードームの中の景色に関心を寄せて眺める。
この人のスノードームは今どのくらい吹雪いているかしら、それとも落ち着いているかしら、どんな物が置いてあるかしら、どんな景色が広がっているかしら。
そっと、あくまでその人を外側から眺めるのです。


こういうかかわり方が、一番バランスの良い自他境界の状態なのではないか、と最近思うのです。

 

 

以上が、私が自他境界を保つためによく活用する、スノードームのイメージです。

 

実は、今まで、「自分と相手の間に太い境界線をイメージする」「自分と相手の間に見えない壁があることをイメージする」など、いろいろな自他境界のイメージを試してきたんですが、このスノードームのイメージが個人的には一番しっくり来ているので、紹介してみました。

 

抽象的なイメージの話になってしまいましたが、最後までお読みいただき、ありがとうございました!